PREGNANCY

妊娠率がUP!「着床の窓」が見つかる不妊治療最先端・ERA検査

不妊治療の技術は日々進歩していますが、この2、3年で広がってきたものに「ERA検査」があります。ERA(エラ)検査によって不妊症患者さんの妊娠率が25%上がったというデータも。ERA検査とは何なのか、対象者や方法、費用について、アイジェノミクス社にお話を伺いました。

「着床の窓」を特定できれば、妊娠率は上がる

Graphs / PIXTA

「不妊治療をしている人で、良質な受精卵を移植しても妊娠に至らない場合、胚を子宮に戻すタイミングが『着床の窓』と一致していない可能性が考えられます」

そう語るのはアイジェノミクス社。不妊や出産などに関わる遺伝子検査をおこなっています。

「受精卵が着床できる時間や時期には個人差があるんです。48時間ある人もいれば、12時間くらいの人もいる。ERA検査によって、その着床能のある時期(=着床の窓)を、12時間単位で特定できるようになりました」

「着床・妊娠するためには、着床の窓が開いているタイミングに、子宮内に受精卵を移植することが重要なのです」

つまり、受精卵を戻す適切なタイミングがわかる検査、ということ。これまで画一的に考えられていた「着床の窓」には、個人差があったんですね。

アイジェノミクス社の臨床例では、検査を受けた35%ほどの人が、予想していた着床の窓の時期と実際の着床の窓の時期とがずれていました。着床の窓から外れたときに受精卵を戻しても、着床できないのだそう。

不妊原因を探るひとつの手段に

metamorworks / PIXTA

「ERA検査をすることで着床の窓を特定できるため、もし妊娠に至らなかった場合ほかの因子を疑うことができます。時期の問題なのか、受精卵の問題なのか、それ以外の要因なのか…。ERA検査を受けることは、治療における心のケアにも繋がると思っています」

不妊カップルのうち10~25%が原因を特定できていないのが実情です。原因がわからぬまま治療を続けることは、心身ともに大きな負担がかかりますよね。

「不妊原因を排除することで、短期間で結果を出せるお手伝いをしたい。もう少し検査を広めていって、安価に提供できるようになればと思っています」

ERA検査の対象・方法・費用について

■検査対象者

本人が希望すれば誰でも受けることができます。

ただし、アイジェノミクス社が推奨するのは次の条件に該当する方です。
・良好胚を移植したにもかかわらず、着床不全を経験したことがある
・子宮に特に問題がみられないにもかかわらず妊娠に至らない方

■検査方法

黄体ホルモン投与を開始してから5日目(もしくは排卵を確認してから5日目)に、医師が子宮内膜の組織を採取します。一時的な痛みや出血がある場合がありますが、身体への負担は大きくはありません。体がん検診の痛みと似ています

■検査にかかる時間、回数

検査自体にかかる時間は10分程度です。結果が出るまでには3週間かかります。

約9割以上の人が一度の検査で着床の窓のタイミングを特定できますが、稀に着床の窓が極めて狭いために2〜3回の検査が必要になることもあります。

■検査にかかる費用

現在の検査費用は14〜15万程度。自由診療のため、病院やクリニックによって差があります。

■検査を受けられる施設

体外受精を検討中なら、ERA検査について担当医に尋ねてみて

polkadot / PIXTA

ERA検査は日本ではまだ始まったばかりの不妊治療。費用は15万前後と高額です。ただし、体外受精費用は1回でおよそ50万円。ERA検査で妊娠率が25%程度上がると考えると、トータルの治療費を抑え、治療期間も短くできるかもしれません。

体外受精にステップアップした方、検討中の方は、ERA検査についてぜひ担当医に尋ねてみてください。



取材協力:アイジェノミクス・ジャパン
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取材・文:有馬美穂
サムネイル: タカス / PIXTA