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子どもが犯罪に巻き込まれないために! さわられない、つかまれない距離を知る

子どもが自分で自分の身を守る力を身につけるために、親がすべきことはどんなことでしょうか? これは、特殊な力を身につけるようなものではなく、生きる力やコミュニケーション力を養う、とても大切で基本的なこと。今すぐできる防犯力の高め方について、安全インストラクターの武田信彦が解説します。

悪さをしようと考えている人は“近づいてくる”

そもそも、子どもに危害を加えるなど悪意をもつ人は、子どもに近づいていきます。犯罪に巻き込まれないためには、不要に近づいてくる人に意識を向け、適切な距離を取る必要があります。

そのために身に付けたいのは、周囲を観察する力と、人と適切な距離感を保つという意識です。

身を守る力を育む2つのステップ

ステップ① 観察力を身につけよう

普段から、周囲の人や様子を観察する習慣を身につけましょう。
とくに、近づいてくる、ついてくるなどの行為には、いち早く気付くことが大切です。
街中で「◯◯はどこにあるかな」という探し当てゲームなどをして、周囲に意識を向ける習慣を身に着けることがおすすめです。

ステップ② 大人の手が届く距離を意識しよう

犯罪の場合、人の手が届くところから被害が重大化していきます。
成人の腕の長さを意識して、「大人の手が届かない距離感」を覚えておきましょう。

具体的には、1メートル以上離れていることが理想的です。
子どもにも説明するときは、小学生であれば “大きな前ならえ”、“体操体系に広がるときの長さ”と伝えるとわかりやすいでしょう。

大人と「歩く鬼ごっこ」をするのもオススメです。大人が鬼となり、あえて腕を伸ばして普通の会話をしながら行う鬼ごっこです。鬼から目を話さずに歩く練習になると同時に、大人の手が届かない距離を体感することができます。

“良い人”と“悪い人”を見分けることはできない

子どもに悪さをしようとする人を見抜く方法があればよいのですが、残念ながらほぼ不可能です。
悪意は人の心の中にあるからです。行為として表れてようやく分かるものなのです。
だからといって、子どもに「外で、誰かに話しかけられても反応しない、挨拶もしないように」と教えるのは極端すぎるでしょう。

挨拶や簡単なコミュニケーションは行うかもしれない。でも、触れる、つかまれるようなことは防ぎたい。だからこそ、「人との適切な距離を知る」ことが重要なのです。挨拶はするけれど、一定の距離を取る。これは、お互いのマナーであり、安全なコミュニケーションの基礎であると私は考えます。

挨拶の習慣は、いざというときに「助けて」を言える力に

では、なぜ挨拶をなくしてはいけないのか…。
なぜなら、挨拶は、「助けて」の練習にもつながり、「助け合いの環境」のベースになるものだからです。一人歩きをする環境であれば、地域にいる人たちの助けが不可欠です。

一方、私は、講演や研修会をとおして、防犯ボランティアや見守りを行うみなさんにも、「適切な距離」を意識するよう伝えています。過度な接触は、トラブルや誤解につながることがあるからです。

子どもも大人も、適切な距離感を保ちながら、元気に挨拶したり、コミュニケーションしたりする機会がもてるといいですね。

サムネイル:津田蘭子
記事内画像:PIXTA

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