MANGA & COLUMN

〈特別編〉激戦区の保活は「必死さアピール」が大事!

水谷さるころの特別描き下ろし漫画第5弾! 待機児童のいる地域での“保活”は、ママやパパにとって一大プロジェクト。東京23区内の中でも特に激戦区に住んでいる水谷家は、どのように認可保育園の入園を勝ち取ったのでしょうか…?

東京の激戦区。たった一人で保活に挑むことに

保活をした当時、私たちは東京23区の中でも特に“激戦区”と呼ばれる地域に住んでいました。

うちはフリーランス夫婦。地域ごとに差はありますが、大抵の場合フリーランスで働いている人は、正社員で育休を取っている人よりも認可保育園に入るのに不利な条件になっています。ネットで検索しても有効な情報は手に入らないため、私は区の保育課に通って入園の条件をいろいろ聞くことにしました。しかし「こういう条件でしたら、入園の優先順位が上がります」と情報をもらっても、最後には必ず「でも、入れるかどうかはわかりません」なんて言われるんです。帰り道はいつも不安でいっぱいでした。

フリーランスに育休はありません。なので、入れなかったら保育料の高い認可外に入れて待機しなければなりませんが、それはひたすら貯金を使う消耗戦です。「育休の延長できる会社員は羨ましい…」と思うこともありましたが、認可保育園に入りたい人たちはそれぞれ事情をかかえています。羨んでもしかたがありませんよね。

我が家の場合、アテにしていたパートナーが当時仕事が忙しくて保活に関与できず、調べるのも書類制作も全部私一人ですることに! そのときまだ産後2〜3ヵ月。自分の体調も赤ちゃんのお世話も落ち着かないときに、大変な保活を一人でやらなければならないのか…と泣きたい気持ちになったことを覚えています。(「オレが育児するよ」と言ったくせに!)

条件とタイミングで決まる保活。でも運まかせにはできない…!

認可保育園は、幼稚園などと違って厚生労働省が管轄する「福祉」です。就労で保育ができない親に変わって行政がサポートしてくれるものですから、誰を入園すべきかは行政が決めます。つまり、お受験とは違い「がんばれば必ず成果が出る」というものではありません。自分の努力が及ばない、“条件”や“タイミング”などに左右されてしまうのが、保活のつらいところですよね。

しかし、入園できなければ仕事やキャリア、生活にも影響が出てしまいかねません。運やタイミングだけに任せるわけにもいかず、できる限りのことはしようと思いました。

そこで、「我が家はどれくらい福祉のサポートが必要か」をとことん書類でアピールすることにしました。

「なぜ我が家は共働きしなければならないのか」を書類でとことんアピール

フリーランスの仕事は自分に全裁量があり、仕事量を増やしたり減らしたりするのも自由です。だからこそ行政からは「仕事を自分で調整してください」と言われやすいのだと思います。そこで「子どもを見ながら仕事をするのは難しいです!」という書類を夫婦そろってみっちり書きました。

また、パートナーが前妻との子に養育費を払っていることがわかる証明書類も添付しました。書類を窓口で提出するときには、「(養育費の支払い有無は)条件規定にないので、考慮できるかわかりません」と言われましたが、もし同じ条件、同じ点数の家庭があった場合、「なぜ我が家が夫婦で共働きしなければならないのか」の事情を汲んでくれるかもしれません。

もちろん、希望する園はできる限り書きました。保育園の見学会にも行っていろいろ見てみましたが、最終的には「認可に入れてもらえるなら、どこでもいい!」という気持ちでした。

そんなこんなで分厚い書類を提出。書類の厚みで、私たちの「福祉にサポートしてほしい!」という気持ちをわかってもらいたかったのです。

晴れて、認可保育園に入園!

そして、認可保育園に入園することができました!

とあるママ友は「0歳児のとき、希望欄に人気の園3つしか書かなくて落選した」と言っていました。我が家が入園できたのは、書類の厚みで「必死さ」が伝わったのかもしれません。だから、保活についてアドバイスを求められるとついつい「必死さアピールは大事だよ!」と言ってしまいます。

私たちは運良く、入園することができました。でも、必死さアピールしないと認可保育園に入れなかったり、保活がうまくいかず仕事を泣く泣く諦めてしまう女性がいたりする状況って、なんだか変ですよね。できれば、そうではない保育環境になって、より安心して子どもが産める社会になることを願っています。