WORK & MONEY

税率アップで拡充されたすまい給付金。給付を受けたら確定申告は必要?

10月1日より消費税率が8%から10%に引上げられ多くの物やサービスの価格が上がりました。そのなかでも、住宅については2%の差と言っても金額が大きいため、住宅の購入を考えている人への影響は少なくありません。しかし、税率引上げと同時に実施された負担軽減策のおかげで、引上げ後のほうがかえって住宅を安く買えるケースもあると言われています。今回はその理由のひとつすまい給付金について分かりやすく解説します。

すまい給付金とは?

すまい給付金とは、消費税率引上げによる住宅を取得する人の負担の増加を軽減するために現金を給付する制度です。住宅取得に対しては住宅ローン控除という税制上の支援策がありますが、住宅ローン控除は支払った所得税などから控除するため、収入が低く元々の所得税などが少ない人は減税の効果が小さくなってしまいます。

そこで、すまい給付金制度により、住宅ローン控除による負担軽減の効果が十分に及ばない収入の人たちに対して、住宅ローン控除とあわせて消費税率引上げによる負担の軽減をはかることができます。すまい給付金制度は2014年度から実施されていますが、今回の消費税率引上げに伴い、最大給付額が30万円から50万円に拡充されました。なお、この制度は2021年12月31日までに住宅の引渡しを受け入居することが条件のため、住宅取得の計画の際には注意が必要です。

すまい給付金がもらえる人と住宅の条件

Job Design Photography / PIXTA

すまい給付金の対象になる人は以下の条件を満たしている必要があります。1と2はいずれも満たす必要があり、3と4については住宅ローン利用の有無により条件が異なります。

1.住宅を所有している(単独での所有でも、配偶者・子など他の人との共有でも可)
2.住宅に居住している
3.住宅ローンを利用する場合は、収入額の目安が775万円以下
4.住宅ローンを利用しない場合は、年齢が50歳以上かつ収入額の目安が650万円以下

なお、対象となる住宅ローンは、自ら居住する住宅の取得、借入期間5年以上、金融機関等からの借入という3つの条件を全て満たす必要があります。

次に対象となる住宅の条件は、新築住宅と中古住宅、また住宅ローン利用の有無によって条件が異なります。

【新築住宅の場合】

新築住宅の場合は、以下の2つの条件をいずれも満たしている必要があります。

●登記上の床面積が50㎡以上の住宅
●施工中に第三者機関の検査を受け一定の品質が確認された住宅
※一定の品質とは、住宅瑕疵担保責任保険へ加入、建設住宅性能表示を利用、住宅瑕疵担保責任保険法人により保険と同等の検査を実施済、のいずれかに該当するものをいいます。

なお、住宅ローンを利用せず現金で取得する人の場合は、次の2つの条件が加わります。
●新築住宅取得者の年齢が50歳以上(※注)、かつ収入額の目安が650万円以下(都道府県民税の所得割額が13.30万円以下)の人が購入する住宅
●住宅金融支援機構のフラット35Sと同等の基準を満たしている住宅
※注:年齢とは住宅の引き渡しを受けた年の12月31日現在時点の年齢を言います。

【中古住宅の場合】

対象となる中古住宅は、売主が宅地建物取引業者であることが必要です。中古住宅の売主が個人の場合はもともと消費税が非課税のため、すまい給付金も対象外となります。

適用を受ける条件は、以下のAからCを全て満たす必要があります。住宅ローンを利用せず現金で取得する人の場合は条件にDも加わります。

A.登記上の床面積が50㎡以上の住宅
B.売買時に第三者の現場検査を受け、現行の耐震基準を満たすことが確認された住宅…現行の耐震基準となった昭和56年6月1日以降に建築の許可を取得している住宅、又は耐震改修により耐震基準を満たした住宅のことです。
C.売買時に第三者の現場検査を受け、一定の品質が確認された住宅…一定の品質とは、既存住宅売買瑕疵保険へ加入、既存住宅性能表示制度を利用(耐震等級1以上)、建築後10年以内かつ住宅瑕疵担保責任保険に加入又は建設住宅性能表示を利用、のいずれかに該当していることです。
D.現金で購入の場合は、年齢が50歳以上の人が取得する住宅

すまい給付金の給付額はどのように決まるの?

mits / PIXTA

給付額は、住宅を取得した人の収入と不動産登記上の持ち分割合によります。給付額を求める計算式は以下の通りです。

給付基礎額 × 持分割合 = 給付額(1,000円未満切捨て)

給付基礎額は、収入や家族構成によって決まります。さらに、金額は10万円・20万円・30万円・40万円・50万円の5種類の中から決まります。消費税率が8%の時は、給付基礎額の限度額は30万円でしたが、消費税引上げ後には限度額が50万円に拡充しました。

給付額の計算は、条件が細かく分類されていてやや複雑です。例えばサラリーマンの場合、収入額、家族構成(扶養人数)、住宅ローン利用の有無などにより給付額が定められています。2つのケースでの給付額を見てみましょう。

【ケース1】
家族構成は夫婦(妻は収入なし)と子ども2人(中学生以下)。夫の収入額500万円。住宅は夫の単独所有。住宅ローン利用ありの場合
給付基礎額…40万円
給付額…40万円×持分割合100%=40万円

【ケース2】
家族構成は上と同じ。夫の収入620万円。住宅ローン利用なし。住宅は妻と共有で夫の持分割合は50%
給付基礎額…20万円
給付額…20万円×持分割合50%=10万円
ケース2では、妻にも持分割合があるため、夫に加えて妻もすまい給付金が受けられます。給付基礎額は妻の収入や住宅ローン利用の有無などによって決まります。

具体的な条件については国土交通省「すまい給付金サイト」内の「給付基礎額 確認表」を参照ください。


また、同サイト内の「すまい給付金シミュレーション」では、持分、住宅ローン利用の有無、年収、扶養家族数を入力すれば給付額を計算してくれます。

すまい給付金をもらうと確定申告は必要?

すまい給付金は一時所得として課税対象になりますが、他に一時所得がない場合には課税されません。なぜなら、一時所得は特別控除として50万円を差し引くことができるからです。つまり、給付額が最大でも50万円のすまい給付金は、特別控除50万円を差し引くと所得がゼロになるので、結果的に課税されないということになります。この場合は確定申告も不要です。

ただし、他にも一時所得があり、すまい給付金と合わせて50万円を超える場合は確定申告が必要になります。すまい給付金は「国庫補助金」に該当し、一時所得の総収入金額に含めなくても良いと規定されています(所得税法第42条)。この規定を受けるためには、確定申告を行い、確定申告書に「国庫補助金等の総収入金額不算入に関する明細書」を添付することが必要になります。

また、すまい給付金は非課税であっても、住宅ローン減税の適用を受ける人の場合は、会社員でも住宅ローン減税の1回目は確定申告が必要です。

住まいの購入には他にも支援策がたくさん

今回は、すまい給付金について解説してきました。消費税率引上げ後の住宅需要の落ち込みを緩和するために、すまい給付金以外にも多くの支援策が設けられました。住宅ローン控除の10年から13年への期間延長、住宅取得資金等贈与の拡充措置、住宅エコポイントの創設などです。これから住宅購入を検討される家庭は、これらの支援策を理解し、じゅうぶんに活用することにより、少しでもお得な住宅購入を目指してください。

執筆者プロフィール:

橋本 秋人(ファイナンシャル・プランナー)
住宅メーカーで30年以上相続対策・不動産活用を担当。在職中にCFPⓇ、FP技能士1級を取得。勤務先での業務及び日本FP協会埼玉支部、金融機関、一般法人等でセミナー講師、相談、執筆などを経験。
2016年にファイナンシャル・プランナー、不動産コンサルタントとして独立。現在は、FPオフィス ノーサイド代表としてセミナー、執筆、不動産コンサルティング、相談業務を中心に活動。不動産投資サイト等にコラム連載中。その他メディア執筆多数。


サムネイル:EKAKI / PIXTA