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子どもの口座を開設すべき?メリットと注意点

子どもが生まれると、お祝いをいただく機会も増えると思います。さらに子どもが成長していくと、今度は子ども自身がお年玉やおこづかいをもらうようになります。ほかにも、子どものために支給される児童手当を使わないで教育資金として積み立てることも。ところでこれらのお金、誰の口座に貯金しますか? 出産をきっかけに子ども名義の口座をつくることを考えるパパママも多いでしょう。今回は子ども名義の口座について解説します

子ども名義の口座のつくり方

子ども名義の口座の活用には、主にふたつの意味があります。
ひとつは、子どもの教育費など将来の必要資金を準備するため。
もうひとつは、子どもにお金とのかかわり方を教える金銭教育のためです。

(1)子どもの将来の必要資金を貯めるため。メリットは?

子どもが生まれると、出産祝いから始まって、毎年の誕生日、七五三、入園祝い、入学祝いなどさまざまな場面でお祝いをいただくことが多くなります。いただいたお祝い金は、実際に子どものためにすぐ使うこともありますが、子どもの将来のためにお祝い金を貯金しておきたいパパママもいるでしょう。
そのときに、子ども名義の預貯金口座をつくっておけば便利です。

また、子どもの教育費のため方のひとつに児童手当を積み立てる方法があります。児童手当は、0歳から中学3年生の子ども(満15歳になった後の最初の3月31日を迎えるまで)がいるパパママへの養育費の補助ですが、使わずに積み立てると最大で約200万円になります。

2019年12月18日の文部科学省の発表では、子どもの学習費総額は、幼稚園から高校まで公立に通った場合の541万円から、全て私立の場合の1,830万円まで大きな幅がありますが、どのコースでも大きな金額が必要になります。(※1)
さらに大学まで進学する場合の4年間の入学・在学費用は、国公立大学が539.3万円、私立大学文系が730.8万円、私立大学理系が826.7万円と、やはり高額の教育費がかかります。(※2)

このような教育費のうち、約200万円が児童手当の積み立てで準備できれば、大きな足しになります。(※3)

その貯金方法として、子ども名義の預貯金口座を用意しておく考え方があります。

教育費のように目的がはっきりしているお金を子ども名義の口座にしておくことは、他の預貯金と区別がつきやすく、残高もすぐに確認できます。
また、子ども名義の口座にしておくと、心理的に手をつけにくいというメリットも生まれます。

(2)子どもの金銭教育のため。メリットは?

子どもが成長すると、今度は子ども自身がお金を受け取る場面が増えていきます。
お正月には祖父母や親戚からお年玉をもらったり、おこづかいをもらったりすることもあるでしょう。
学年が上がると、子どもに毎月決まった額のおこづかいを渡すパパママが増えていきます。(※4)

そのときに、子ども名義の口座をつくることが、子ども自身がお金の管理するきっかけとなります。

お年玉やおこづかいの預け入れ口座を子ども名義にして子どもに管理させることは、子どもの金銭教育にプラスになる面が多いとされています。

欲しいものを買うという目標ができることで、しっかりと口座に貯金をするようになり、無駄遣いを減らすことにもつながります。また、口座のお金が増えていくと、子どもがお金を貯める楽しさも覚えます。さらに、銀行というところでお金を預かってくれること、一定期間預けておくと利息が受け取れることなど、社会のしくみにふれることもできます。

このように、パパママと一緒に学習しながら、子ども自身が口座を使ってお金の管理をするようになると、お金の価値や役割も理解できるようになります。

子ども名義の口座のつくり方

まずは、15歳未満の子ども名義の口座がつくれない銀行があるので、想定している金融機関があれば子どもの年齢で口座をつくれるかを事前に確認しておきましょう。

ゆうちょ銀行では、0歳から子ども名義の口座を開設できます。全国に店舗があるので便利な金融機関といえます。

ネット銀行も、全国どこでも住所を選ばず口座をつくることができます。通帳はありませんが、キャッシュカードはつくれるので不便ではありません。ただし、ネット銀行のなかにも、15歳未満の子どもの口座がつくれない銀行があるので、事前の確認が必要です。

パパママの勤務先では転勤がない、転勤があっても狭い範囲のみであれば、住まいの近くの地方銀行や信用金庫なども候補になります。

次に口座を開設する際の必要書類ですが、例えば、ゆうちょ銀行の場合は次の書類などが必要です。
・子どもの本人確認書類(健康保険証など)
・パパママの本人確認書類(運転免許証など) 
・届出印
金融機関により、提出書類が異なる場合があるので、各金融機関で事前に確認をしてください。

子ども名義の口座の注意点2つ

子どもの名義で口座をつくった場合、子どもが成人すると、本人でなければお金をおろせなくなります。
とくに、積み立てた教育費をおろす必要がある大学などの入学時期には、子どもは18歳になっています。現在の成人年齢は20歳ですが、これから子どもたちが成長するころには、民法改正によって成人年齢が18歳になる予定なので注意が必要です。入学金の納入期限日など、必要なタイミングでお金がおろせないと大変困るので、子どもが18歳以降に必要になる教育資金は、子どもにきちんと伝えて、おろし忘れないようにしておきましょう。どうしても不安がある場合は、教育費ははじめから子ども名義ではなく、パパママ名義の口座で積み立てておくことをおすすめします。

また、子ども名義の口座に多額のお金を入金すると、贈与税の対象になる場合があります。
1年間に110万円の贈与税の基礎控除を超えると、超えた金額に対して贈与税がかかってしまいます。ほかにも、多額の入金が毎年続くと、「連年贈与」として、合計額を贈与税の対象とされてしまう恐れもあります。贈与税の課税対象にならないように口座に入金する金額にも十分に注意してください。

子ども名義の口座を上手に利用しましょう

子ども名義の口座は、メリットを活かして上手に利用したいものです。子どもの金銭教育にも活かしながら、パパママも将来のライフプランのためにおおいに役立ててください。

執筆者プロフィール:

橋本 秋人(ファイナンシャル・プランナー)
住宅メーカーで30年以上相続対策・不動産活用を担当。在職中にCFPⓇ、FP技能士1級を取得。勤務先での業務及び日本FP協会埼玉支部、金融機関、一般法人等でセミナー講師、相談、執筆などを経験。
2016年にファイナンシャル・プランナー、不動産コンサルタントとして独立。現在は、FPオフィス ノーサイド代表としてセミナー、執筆、不動産コンサルティング、相談業務を中心に活動。不動産投資サイト等にコラム連載中。その他メディア執筆多数。