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【看護師監修】赤ちゃんに必要な栄養とは? 水分補給も徹底解説

0歳の赤ちゃんに本当に必要な栄養素とは? 母乳や粉ミルクは、離乳食が本格化するまで乳児に絶対必要な栄養源です。ヤギ乳や牛乳で代用できるものではありません。汗をかくときは適度な水分補給も大切です。

「良かれと思って…」科学的根拠のない自己流栄養法には注意して

最近、ヤギ乳しか与えられず貧血になってしまった赤ちゃんが話題になりました。どうやらアレルギーを予防するためにヤギ乳がよいと聞いたことが原因のようです。

ネットやSNSにはさまざまな育児情報があふれています。その中で知らず知らずのうちに、根拠のない栄養法を赤ちゃんに試していることがあります。

もちろん、「我が子を大切に、育てたい」と思ってやったこと。その思いは肯定されるべきです。でも正しい知識がないと、誤った方法に進んでしまうことがあります。

我が子を大切に思う気持ちを台無しにしないためにも、科学的な研究で証明されている正しい栄養法について知っておきましょう!

母乳や粉ミルクに含まれる栄養はこんなにある!

母乳や粉ミルクには、脂質や炭水化物(主に乳糖)、タンパク質、ビタミン、ミネラルなど、赤ちゃんの成長に欠かせない栄養がバランスよく含まれています。

主な栄養素についてご紹介します。

①脂質
脂質は赤ちゃんの主なエネルギー源です。ビタミンを吸収する補助の役割を担うこともあります。

②炭水化物
赤ちゃんの脳や神経の発達には乳糖が欠かせません。母乳にはわずかにオリゴ糖が含まれているため、粉ミルクにも含まれています。

③タンパク質
赤ちゃんのからだを作る栄養素です。

・免疫グロブリン
出産後3〜5日ごろに出る母乳を「初乳」と呼びます。最初のころの母乳は、黄色くてどろっとしていませんでしたか? 初乳には、赤ちゃんに免疫を与える物質がたくさん含まれています。

・ラクトフェリン
ラクトフェリンも同じく初乳に多く含まれます。腸内環境を整えて、感染症から赤ちゃんを守ります。また貧血を改善する効果もあり、粉ミルクにもよく含まれています。

④ミネラル
ミネラルには、カルシウムやマグネシウム、ナトリウムなどがあります。母乳や粉ミルクに含まれるのは微量ですが、とても大きな働きをします。牛乳にはたくさんのミネラルが含まれていますが、赤ちゃんの腎臓ではなかなか消化できません。

⑤葉酸
葉酸はビタミンB群の一種で、赤ちゃんのからだの細胞を作ったり、赤血球を作ることを助けます。授乳中の母親も積極的に取るべき栄養素です。

⑥DHA
DHAは脳の栄養の一つです。学習能力を上げるだけでなくアレルギーも予防します。よく粉ミルクの缶に「DHA配合」と書いてありますよね。粉ミルクは、母乳では足りないDHAを補っています。

⑦ビタミンK
出血性疾患を防ぐための栄養素で、粉ミルクによく含まれています。一方母乳にはビタミンKがあまり含まれていないため、産後退院する際に赤ちゃんに「ビタミンKシロップ」を飲ませるのが主流です。粉ミルクにはその他のビタミン類も配合されています。

母乳と粉ミルクには、他にもたくさんの栄養が詰まっています。どれも赤ちゃんの成長には欠かせないもの。牛乳やヤギ乳単独では決して補えるものではありません。

ちなみに、我が家の2人の子供は完全ミルクと母乳とミルクの混合で育てました。2人ともすくすくと元気に育っています♪

赤ちゃんが栄養不足になるとどうなるの?

母乳や粉ミルクの量が極端に少ないと、成長発達が遅れます。からだが大きくならないだけでなく、脳の発達にも支障をきたすことも。

また、葉酸やビタミンが不足すると、貧血を起こしやすくなります。

母乳や粉ミルクのバランスよい栄養は、他のものではなかなか代用できません。特に母乳は、まだ解明されていない成分があるほど優れた栄養なのです。

アレルギーが心配なときは小児科で相談を

一方、粉ミルクで心配なのはアレルギーですよね。実際に、牛乳由来の「カゼイン」を含む粉ミルクでアレルギーを起こす赤ちゃんがいます。

粉ミルクから起こるアレルギーは、「牛乳アレルギー」とは少し異なり、「新生児・乳児消化管アレルギー」と呼ばれます。

アレルギーの原因や症状は一人ひとり異なりますし、最適な対策方法もそれぞれ。自己判断で対策をするのでなく、かかりつけの小児科の先生に相談しましょう。アレルギー反応の原因になる物質がわかり、アレルギーのお子さま向けの粉ミルクなどを紹介してくれます。

気になる赤ちゃんの水分補給も知っておこう!

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母乳やミルクは与えているけれど、他に水分補給をしなくていいのかと心配になるママも少なくないはず。いつから水や麦茶を与えるべきなのでしょうか。

一般的には、離乳食を始める頃までは母乳やミルクで十分だといわれています。

ただし、赤ちゃんは季節を問わずたくさん汗をかきます。いつも以上に汗をかいたときや、発熱をしているときなどは、生後2ヶ月を過ぎていれば母乳やミルク以外の水分補給をしてあげましょう。

水分補給は、人肌の温度のさ湯や麦茶がよいでしょう。飲ませるのは哺乳瓶が安心です。哺乳瓶が苦手なら、コップやスポイトで少しずつ与えてみてください。

「人肌の温度にするのが面倒」という方は、沸騰したお湯を冷ました「湯冷まし」を作っておくのがおすすめ。さ湯や麦茶に湯冷ましを混ぜれば、すぐに適温になりますよ。

さ湯や麦茶以外に与える場合は、赤ちゃん用に販売されているドリンクを選ぶとよいでしょう。パッケージには必ず「◯ヶ月から」と表記がありますので確認してください。

参考に、赤ちゃん用の飲料を紹介します。

赤ちゃん用のイオン飲料には糖類が含まれています。熱が出たときなどの水分補給には有効ですが、必要以上に与えすぎないように注意しましょう。


また、大人が飲むスポーツ飲料やミネラルウォーターは控えましょう。水道水も必ず煮沸して冷ましてから与えるようにしてください。

栄養の正しい知識が赤ちゃんを守る

今回ご紹介したような栄養の基礎知識は、今後根拠のないデマ情報にふれたときに「この情報は信頼できるかどうか」を判断する力になります。

正しい栄養知識を身につけ、赤ちゃんの健やかな成長を見守りましょう。

画像:pixta